祓(はらえ)の道具として人形(ひとがた)がありました。
古代からの民間信仰として人形(ひとがた)に穢れを移して川や海に流し、
災厄を祓うという風習がありました。
その人形(ひとがた)が、天児(あまがつ)の原型です。
人形辞典
お雛さまは赤ちゃんの幸せの未来予想図であり、
毎年飾ったり仕舞ったりを積み重ねることで願いを叶える
お飾りでもあります。
ひな祭りはお家の中で行う小さなお祭り。
お供えものを用意し、お雛さまにお供えしましょう。
京都では、和菓子店で引千切(ひちぎり)を求めて
お供えします。
引千切とは、引きちぎったような形状が特徴で
宮中ではたくさんのお菓子を作るため、
丸める手間を省くためにこのような形になった
と言われています。
又真珠を抱くあこや貝に似た形をしていることから
女性を象徴したお菓子であるとも考えられます。
いずれにしろ京都以外の地域では見かけることのない
典型的な雛菓子です。
又、お祝いに欠かせないのがご馳走ですよね、、、
ちらし寿司や手毬寿司、ハマグリのお吸い物、シジミの炊いたん、
菜の花のお浸しなど、季節の食材を使って
我が家のお雛まつりを自由にアレンジしてください。
親しい人達と一緒に
赤ちゃんの健やかな成長と幸せを願う
ひな祭り。
もちろん女性のためのお祭りでもあります。
雛人形と共に桃の花や菜の花を飾って
桃の節句を楽しく自由に演出してください。
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〇季節の節目に邪気をはらう
おひな様の起源は平安時代に遡ります。
昔の日本にはたくさんの節句があり(五節句)、
人々が季節の節目に身の穢れ(けがれ)を払う大切な行事の一つでした。
その中のひとつ、
「上巳の節句」がひな祭りとなったのです。
〇雛祭りと雛人形の関係
ひな祭りというと雛人形ですね、、、
千年以上もの歴史のある雛人形は、日本独自の大切な文化遺産ともいえます。
「源氏物語」に記述のある「ひいなあそび」などからも、
雛人形の歴史を感じます。
〇「上巳の節句」(じょうしのせっく)と桃の節句
桃の節句は「五節句」のひとつの「上巳の節句」(じょうしのせっく)のことです。
古代中国の風習と日本独自の風習が一緒になりました。
「上巳」(じょうし)は、 3月の初めの巳の日をいいます。
この日、水辺に出て穢れを祓うための禊(みそぎ)を行い、
お食事会を催してお祝いをしました。
中国でのこの行事のいわれは、けがれを祓い清める意味合いが強かったようですが、
それが日本独特の祓(はらえ)の思想と結びつきました。
〇雛人形の源流
男女一対にしてまつられる、「雛人形のルーツ」といわれているのが、
「天児(あまがつ)」というお人形です。
天児は、30㎝ほどの竹二本を束ねて胴とし、
さらに別の竹を横に組み合わせて手とし、
絹の丸い頭を付け、目・鼻・口を付けた素朴なお人形です。
その起源は平安時代ともいわれています。
幼児に降りかかる災いや穢(けがれ)を負わせるために
この人形に衣装を着せ、枕元に置きました。
さらに自分の分身として生涯持ち続け、
毎日お供え物をして大切にしたということです。
雛人形は祓(はらえ)の人形、天児(あまがつ)と
「ひいな遊び」のお人形が一緒になったものです。
又、「源氏物語」の中に、
「ひいな遊び」=ままごと遊びをしている風景が登場しています。
この「ひとがた」と「ひいな遊び」が結びついて、
現在の「お雛さま」が生まれました。
川や海に流していた人形(ひとがた)も「雛人形」として造られるようになり、
江戸時代になると、平安時代の宮廷を模した段飾りの雛人形となっていきました。
雛遊びが雛祭りと変化してゆくのは、
江戸幕府が3月3日の節日を「五節句」の一つに定めたことです。
時代と共に3月3日に女の子の幸せと健康を願って人形を飾る
風習がゆきわたってゆきます。
〇桃の節句は五節句のひとつです。
江戸幕府が五節句を定めました。
その後明治6年に廃止されましたが、民間行事として今も定着しています。
季節の食べ物をお供えして天地に感謝したり、邪気を払う日とされています。
・人日の節句・・・1月7日
・桃の節句・・・3月3日
・端午の節句・・・5月5日
・七夕の節句・・・7月7日
・重陽の節句・・・9月9日
旧暦の節句4月になると桃の花が咲くこと、
又、桃は邪気を払う魔除けの木であるから桃の節句と言われています。
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◇雛人形はいつからいつまで飾るの?
初節句をお迎えの場合、立春(節分の翌日)を過ぎた
お日柄の良い日(大安や友引など)を選んで飾ります。
その後は二十四節気の雨水にあたる日(2月18日~19日頃)
に飾るのが縁起が良いとされています。
松が明けて一息ついた頃にお飾りいただいても大丈夫です。
仕舞う時期ですが、言い伝えで
「3月3日を過ぎたら急いで片づけないと結婚が遅くなる」
などといいましたが、
そもそもこの考えはきちんと片付ける習慣を子どもにつけさせるためのもので
最近ではだんだん廃れてきています。
一番大切なことは仕舞う際に湿気も一緒にお箱の中に入れないよう
「からっと晴れた湿気の少ないポカポカ春めいた暖かい日に片づける」
ということです。
京都や地域によっては旧暦のお節句、
4月3日頃まで飾って愉しむお家も多いです。
◇見栄えの良い飾り方のポイントはありますか?
例えば
・毛氈の折り目が目立たないよう蒸気を当てて
しわを伸ばす。
・檜扇の五色の紐も蒸気を当てて真っすぐに伸ばす。
・男雛の冠についている嬰は斜めになったり倒れかけたりしないよう
真っすぐにつける
・屏風の開き方は折れ目の角度がそれぞれ均等になるようにして開く。
・お人形やお道具を飾る際には、屏風の中心線から左右対称になるように
間隔に気をつける。
・出来るだけ広めのスペースにゆったりと飾る。
・お雛さまの美しさを際立たせるために
なるべくシンプルにすっきりと飾る。
◇ライフスタイルに合わせた飾り方
最近はインテリアにこだわった豊かな生活を楽しむ方が増えています。
お雛さまを飾る際にも難しく考えず、
ご自身の発想で自由に飾って愉しんでいただきたいと思います。
例えば桜・橘を飾らずお人形と一緒に生花を一輪飾る、
和紙を敷いてお雛さま単体を飾る、
インテリアに合わせたお皿や小さな食器と一緒に飾る、、、
など色々なアイデアを考えるだけで楽しくなってきます。
雛人形だけを単体で飾ることで省スペースでお飾りいただくことも
出来ますので、住宅事情に合わせてお選びいただきやすいかと思います。
ライフスタイルの変化に合わせて、
必要なお飾り(付属品)を必要に応じてその都度
購入していくのも一つの方法ではないでしょうか、、、
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◇雛人形はどこに飾るのがいいのでしょうか?
雛人形を飾る場所に決まりはありません。
しかしながら、せっかくの節目のお祝い事ですし、
季節を楽しむお雛さまですので、
たくさんの人に見てもらえる場所や風通しの良いお部屋、
家族みんなの集まるリビングなどに飾ってあげられると良いですね。
◇飾ってはいけない場所はありますか?
直射日光の当たるところは避けてください。
紫外線により人形が傷んだり、色が褪せる原因にもなります。
飾る場所というよりも、
飾る環境がお人形に適しているかどうかに気をつけるように心がけましょう。
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女の子のすこやかな成長と幸せを願い、
誕生をお祝いするひな祭り。
その雛祭りに飾る雛人形には、様々なお人形やお道具がたくさんあります。
男雛と女雛は左右どちらに並べればよいか、
お人形の持つ小道具や燭台、桜橘などのお飾りはどこに置けばよいかなど、
雛人形の飾り方や飾る際のポイントについてご紹介します。
◇親王飾りの飾り方
雛人形を飾る場所や収納スペースから
親王飾りにされる方が圧倒的に多くなりました。
男女一対の雛人形のみを飾るお飾りで、
室町時代まではこの親王飾りが主流でした。
さて、雛人形を飾る時、男雛は向かって右にかざりますか?
それとも左に飾りますか?
古代中国の思想に「天子南面す」という言葉があります。
それにより、京都御所の紫宸殿も南向きに建っています。
天皇が紫宸殿の高御座(たかみくら)に南を向いてお立ちになると
左が東になります。
東は日出る最高の方位ということで、尊いとされますので、
左に天皇様、右に皇后様という位置で立たれるわけです。
そのお姿をこちらから見ますと、
向かって右に天皇様、左に皇后様という並びになりますね。
この並びが、江戸時代から大正年間頃までは雛人形の伝統的な飾りつけ方でした。
しかし、昭和天皇の即位の際、皇室が導入した西洋式の儀礼に基づき
立ち位置が逆になられました。
この時のお姿を参考にした東京の人形業界がお雛さまの飾り位置も逆に置き換え、
普及したといわれています。
しかしながら弊店では昔の伝統的な習いのまま、
「日出る尊い東の方位、向かって右に男雛、左に女雛」
を飾り付けています。
屏風がある場合は親王の後ろに立てかけ、
お二人の左右の両端にぼんぼりや燭台(しょくだい)を並べます。
男雛の右手には杓(しゃく)を持たせ、
太刀がある場合は左腰に差します。
女雛の両手には檜扇を乗せましょう。
お花を飾る場合、
男雛の右手前に桜や紅梅を、女雛の左手前に橘や白梅を置きます。
◇三段飾りの飾り方
先ず段を組み立て、毛氈を敷きます。
下から順に左右の出幅を見ながら均等に敷いていきます。
その際、折りしわがあれば蒸気を当てて(やけどに気をつけてください)
伸ばして頂くとすっきり美しくなります。
一番上の段に屏風と燭台を並べます。
折れ目の角度が均一になるように置くのがポイントです。
屏風の前に親王のお二人を飾ってください。
二段目には三人官女を飾りましょう。
真ん中に座り姿の官女、
両端は人形が一歩踏み出している方の足が外側に来るように並べてください。
小道具の順番は左から堤子、嶋台、長柄の銚子を持たせます。
一番下の段には婚礼道具を飾ります。
順番は向かって左から、お駕籠、重箱、牛車の場合が多いですが
お輿入れ道具を飾る場合もありますので、
説明書に従ってお飾りください。
桜橘を飾る時には、親王の横かお道具の横か
見栄えとスペースを考慮して飾る場所を
決めていただければいいです。
◇七段飾りの飾り方
二段目までは三段飾りの飾り方と同じです。
三段目には五人囃子を飾ります。
並べ方は向かって左から座り、立ち、立ち、座り、座りの順で
それぞれ小道具は、太鼓、大鼓(おおかわ)、小鼓(こつづみ)、笛、謡(うたい)
の順番になります。
太鼓には太鼓台とばちが付き、
鼓、笛はそれぞれ手に持たせ、
謡には扇を持たせましょう。
四段目には随身(ずいしん)を飾ります。
向かって右が左大臣で黒い衣装のお爺さん、
向かって左は右大臣で黄丹色の衣装を着た若いお人形です。
その二人の間には膳揃、菱餅を飾ります。
五段目の両端に左近の桜、右近の橘を飾り、
その間に仕丁を飾ります。
向かって左から順に泣き、怒り、笑いの順に並べましょう。
小道具はそれぞれ熊手、ちり取り、ほうきの順番です。
六段目には婚礼道具を飾ります。
向かって左から順に箪笥、長持、火鉢、お針箱、鏡台、台子(お茶のお道具)を並べます。
最後七段目にはお輿入れ道具です。
向かって左からお駕籠、重箱、牛車の順にお飾りください。
◇雛人形を飾る際、順番はあるの?
段飾りの場合、飾る時は必ず最上段のものから順に飾っていきましょう。
下段から飾った場合、うっかり上の段の人形やお道具を落としてしまった際に、
下段の人形が一緒に転げ落ちたり傷ついて壊れてしまう恐れがあるからです。
手袋をしてお人形を汚さないように、
上の段から丁寧に並べてください。
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雛人形の衣装は色・文様・素材と様々な種類があり、
日本の伝統と美意識が息づく優雅なものです。
男雛は実直で凛とした雰囲気を、女雛はたおやかで清楚な雰囲気を
醸し出しています。
気に入った衣装を纏った雛人形は、
お子様とのよりいっそうの想い出になることでしょう。
◇雛人形の衣装はいつの時代のもの?
雛人形の衣装は京都に都があった
平安時代の宮中の衣装を模したものです。
平安時代は国風文化が盛んになった時代で、
日本の服飾技術が飛躍的に向上した時代でもありました。
平安時代より変わらない、雅な文化が表現されています。
◇京雛の衣装について
京雛の衣装は男雛は束帯、女雛は十二単の衣装を着ています。
平安時代の貴族が着用していたそのままを忠実に再現しており
かさねの色目に代表される色使いや繊細な仕立て、
着せ付け方法など有職故実に基づいた装束を着ているのが特徴です。
◇衣装は手作りしているの?
雛人形の衣装はすべて細やかな手作りです。
裂地選びから行い、
伝統的な色合いや紋様、西陣の袋帯など極上の生地を使用し、
一つひとつの人形に美意識と熟練の職人の技を込めて手作りします。
◇衣装の素材は?
衣装の素材の織物は
ポリエステルなどの化学繊維を使用しているものから
総正絹の糸で織っているものまで様々です。
化学繊維で作られた衣装と総正絹の衣装との見分け方は難しく
織物屋さんでも判別が難しいとよくいわれます。
違和感ない自然な艶があるかどうか、ご自身の審美眼で見分ける、
又は実際の織物の手触りで判断するしかありません。
◇衣装に流行はあるの?
昔は男雛は黒か青色系、女雛は赤色といったものがほとんどでした。
現代では、部屋の雰囲気やインテリアとの調和といった
コーディネート面も考慮されています。
又、配色センスが活きるのが衣装着の雛人形の面白さでもあります。
流行が変わるといったことは特にありません。
お好みの柄やお色目の雛人形をお選びください。
◇おすすめのお衣裳は?
たくみ人形では、裂地選びから配色、かさねの色目の選択、男雛と女雛とのお衣裳のバランスなど
きめ細やかな配慮で一つひとつのお雛さまをお誂えしています。
仕上がりが気に入らないお雛さまを店頭に並べることはありません。
お好きな色、文様、雰囲気で楽しく安心してお選びいただければと思います。
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お飾りや道具には、屏風や菱餅などから、
雛人形が持つ小道具まで様々なものがあります。
精巧につくられたお道具は、見ているだけで楽しくなります。
ここでは雛人形のお飾りやお道具についてご説明します。
◇屏風
屏風とは、部屋の仕切りや飾りなどに使う衝立のようなものです。
雛人形の道具としての屏風は、親王の後ろに立てかけて使います。
「場を間仕切る」という意味合いもあり、
生活のシーンの中で神聖な場所であることを
示すための仕切りのような役割も果たしています。
実際、披露宴の際にも新郎新婦の後には必ず屏風があります。
◇毛氈(もうせん)
毛氈はお雛さまたちの下に敷いてある真っ赤な敷物です。
羊毛などを圧縮して作った毛織物で、
命の色といわれる緋色の敷物を敷くことから
魔よけの意味を持つといわれています。
◇燭台(しょくだい)
長柄のロウソク立てを絹や和紙などで覆った灯具。
江戸時代の結婚式は夜に行うのが一般的だったため、
燈明の明かりは欠かせないものだったのです。
結婚式の華やかなライトアップですね。
ろうそくの代わりに油を用いていた時代もあります。
◇桜・橘
おひなさまのお飾りに左近の桜、右近の橘がありますが、
これは京都御所の紫宸殿の中庭にある桜と橘のお花を模したものです。
紫宸殿で行われる結婚式では、天皇と皇后が北を背景にして座し、
南に向かって左側に桜の木、右側に橘の木が植えられています。
建物から見て左に佐近衛府(さこんえふ)、
右に右近衛府(うこんえふ)という武官が並ぶことに由来しています。
794年の平安遷都の際には桜ではなく梅だったらしく、
仁明天皇の時代に桜にかえられたということです。
形や香りの優れた桜だけが選ばれて
守り育てられていくんです。
ちなみに東京の皇居の中庭には桜と橘ではなく
白梅が1本、紅梅が5本植えられてるそうです。
皇居の前庭に咲く紅白の梅を飾る雛人形もあります。
配置は向かって左に白梅、右に紅梅です。
◇貝桶(かいおけ)
貝桶とは六角形をしたうるし塗りのお道具で、
貝合わせ遊びの貝を入れておくための入れ物です。
江戸時代に大名の娘が嫁入り道具として持参したもので、
いつまでも夫婦仲良く幸せな結婚生活が続きように、、、
という親の願いが込められたお道具です。
よく似ているお道具で、円筒形の行器(ほかい)というお道具がありますが、
こちらは食べ物を入れておくお弁当箱のようなもの。
食べることに困らないように、、、
という親のねがいが込められたものです。
◇三宝(さんぽう)
漆塗りや白木の台のようなもので三方向に穴が開いています。
三方の上には徳利のような瓶子(へいし)が載り、
熨斗のついた梅や桃の花が飾られています。
現代では熨斗や水引など縁起物で花をあしらったお飾りになっていますが、
本来は三方に乗った瓶子に、魔よけの意味がある白酒を入れていたといわれています。
◇高坏(たかつき)
たかつきは、食べ物を盛るための脚付きの器です。
雛飾りでは紅白のお餅や和菓子を乗せています。
高貴な人に食べ物を献上するときに使う道具です。
三人官女それぞれの間に配置することが多いです。
◇菱餅
赤、白、緑のお餅を重ね菱形に切った菱餅は、
春らしい色合いで雛祭りを象徴するお餅です。
桃の節句の直会(なおらい)に頂く食べ物の一つで、
三色の菱餅は明治の頃から広まったといわれています。
上から順に赤、白、緑となっていますが、
これは雪の下には緑が芽吹き始め、
雪が溶けだした上に桃の花が咲いている様子を表したもの。
菱形には、長寿、子孫繁栄などさまざまな意味があり、
大地そのものを指す形であるとも言われています。
◇嫁入り道具
現代の日本でも、一部の地域では箪笥などの嫁入り道具を持参することがあります。
雛人形も結婚式を模したお飾りですから、嫁入り道具を小物として飾ります。
嫁入り道具は主に室内で使うもので構成されていて、
箪笥、長持、表刺袋(うわざしぶくろ)、火鉢、針箱、鏡台、茶道具などがあります。
漆塗りの金蒔絵で、嫁入り道具の豪華さが家の格式を表しました。
七段飾りでは六段目に、これらの嫁入り道具が並びます。
◇お輿入れ道具
「お輿入れ」とは、花嫁の乗った輿を婚礼の際に婚家に乗り入れたことから、
嫁入りのことを指しています。
雛人形のお輿入れ道具とは、主に屋外で使う嫁入り道具を指し、
屋内の小物の中では比較的大きい重箱とともに
一番下の段に飾るお道具のことです。
お輿入れ道具は、平安時代の貴族の乗り物「牛車」、
人力で運ぶ「輿」などがあります。
◇お道具やお飾りの単品購入や追加購入について
雛人形は上で挙げたような小物から、髪飾りや人形が持つ付属品までたくさんの小物があります。
毎年出し入れしているうちにうっかり落として壊れてしまったり、
小さなものを紛失してしまうこともあるでしょう。
そんな時は小道具だけの単品購入ができます。
ただし、嫁入り道具の鏡台が壊れたからといっても、
1点のみの購入は少し慎重になった方がいいかもしれません。
なぜなら他の道具類と並べて飾るので、
雰囲気が少しでも違うとちぐはぐな印象になってしまう可能性があるからです。
お道具類はセット販売をしていることが多いので、
同じ段に飾る小物はセットで購入した方がいいでしょう。
◇お道具の選び方
最近では、ライフスタイルに合わせて
お道具はシンプルにされる方が多くなっています。
お雛さまだけをシンプルに飾って、
インテリアに合わせてみるのも
楽しいのではないでしょうか、、、
◇お道具の保管方法や注意点
お道具やお飾りはとっても小さなものですので、
しまう時にもいくつか注意が必要です。
お姫様の檜扇、お殿様の冠や纓(えい:お殿様の冠に付ける)
などは特に小さなものですので、
薄紙に包んでからなくさないように一つの箱に一緒に入れて保管しましょう。
婚礼道具は手袋をしてから細い筆などでほこりを払い、
和紙など薄紙でくるんでから箱にしまいましょう。
ぼんぼりは布でできたライトの部分に防虫剤を入れてから箱にしまえば虫食いを防げます。
これらの片付けはよく晴れた湿気の少ない日に行いましょう。
保管は押し入れや納戸でよいのですが、
できるだけ上段にしまうことで湿気やカビを防ぐことができます。
雛人形の箱の上に物を重ねると
お人形やお道具の破損を招く恐れがあります。
箱の上には何も乗せずに保管しておきましょう。
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親王飾りや段飾りのお人形それぞれについて
ご説明します。
◇男雛・女雛
一対で親王といいます。
お内裏様という呼び名もありますが
それは天皇の住まいである御所(皇居)を
内裏といった名残であり、
親王飾りは天皇・皇后の婚礼の様子を模したものと
いわれています。
◇三人官女
女雛のお輿入れの際に一緒に参内し、
親王のお世話をする女官です。
段飾りの二段目におられることから
位の高い身分であったと思います。
普段の雑務の他、女雛の教育係としての
お役目もあったのではないでしょうか、、、
真ん中で座っている官女は眉を剃り
お歯黒で歯を黒く塗っていることから
既婚者であり一番の年長者であることが
わかります。
手に持つ小道具は向かって左から、
提子(ひさげ)、嶋台、長柄の銚子
で京都の官女には昔からこの小道具を持たせます。
写真の三人官女は「白い官女」で
京都独特のお姿です。
打掛を脱いだワーキングスタイルの官女さんたちですね、、、
◇五人囃子
能楽の囃子方を象った五人の少年演奏家たち。
髪型もおかっぱ頭です。
笛や太鼓、謡(うたい)で音楽を担当し
親王さまの婚礼を盛り上げたと思われます。
平安時代のジャニーズのような存在感ですね!
◇随身(ずいじん)
男雛からみて左手が年配の左大臣、
位の高い左を守っています。
右手には若々しい右大臣、
明るい色の袍(ほう)を着ていますね、、、
小道具に弓矢を持っていますが
来ている装束の色からは
宮廷を警護する位の高い武官であると思われます。
◇仕丁(じちょう)
仕丁というのは、親王の周りで雑用をこなす人達です。
雛段に登場する人物の中ではやや位は低くなります。
ほうきやちり取り、熊手を持ってお掃除するいでたちにも
愛嬌がありますね、、、
唯一の庶民出身であることも大きな特徴。
泣き顔、怒り顔、笑い顔とそれぞれ表情豊かです。
何事にも動じないのが美徳とされた宮中で、
泣いたり笑ったり、怒ったり。
人間味を感じさせるところも
仕丁の大きな魅力です!!
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◇木目込みと衣装着の雛人形の違いについて。
[弊店のお雛さま、たくみの京雛]
弊店が制作する「京雛」は
京都の「伝統的工芸品」に指定されています。
木目込みは「江戸木目込み」といって
関東の「伝統的工芸品」です。
大きな違いはその製法です。
弊店の京雛は、、、
①桐の木を使って芯になる胴体を作る=胴組み
②裂地を選び、柄がきっちり合うよう型紙を当て裁断する=裂地の裁断
③裁断した裂地に和紙で裏打ちして(袋張り)約300くらいある衣装の細かい部分を仕立てていく。
④胴体に綿を巻いたり木毛(もくめん)を詰めて肉付けする。
⑤そこに仕立てた衣装を一枚づつ着せ付けていく。
⑥さらに指の入らないわずかな隙間にまで綿や木毛を入れて造形美を微調整する。
⑦着せ付けが終わると、開いたままの腕を腕折り(かいなおり)し、
槙野巧雲独自の佇まいの美しいお雛さまが出来上がる。
⑥お顔、手足、小道具をつける。
⑥お姫さまは十二単衣、お殿さまは衣冠束帯の衣装を身に付けている。
木目込みの雛人形は、、、
①木の粉を糊と混ぜ合わせて型を作る。
②できた型に切り込みの線を入れる。
③切り込んだ線に生地をはさみ込んでいく。(木目込んでいく)
④お顔、手足をつける。
⑤お姫さまお殿さま共に、平面的な生地を貼り付けたような衣装になっている。
木目込みの人形は製作キットが売られています。
素人の方でも比較的簡単にできるので、
趣味で作ってはる方もたくさんいはります。
教室もあったりしますしね、、、
一般的に短時間で製作できるので大量生産がしやすいという特徴もあり、
使う生地の分量も少なくてすみます。
かたや、省スペースで飾れるメリットも、、、
衣装着の雛人形は十二単にみられる、
重ね着のお衣裳が特徴的です。
製法が全く違うので雛人形選びの参考にしてください。
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雛人形には様々な種類があります。
一般的に雛人形と聞くと、
お人形と道具がたくさん並んだ
豪華な雛段を連想される方も多いことでしょう。
ここでは雛人形の種類についてご説明いたします。
◇親王飾り(平飾り)
・天皇・皇后を模した男雛・女雛一対のお人形を飾る。
◇三段飾り
・親王飾りに三人官女が加わった五人のお人形の三段飾り。
◇七段飾り
・親王・三人官女・五人囃子・随身・仕丁の計十五人のお人形を飾る
七段飾り。
◇立雛
・立ち姿のお雛さまを「立雛」といいます。
雛人形のルーツをたどっていくと
平安時代に貴族の幼児に代わり厄災を受けたとされる男女のお人形にたどり着きます。
「天児(あまがつ)」「這子(ほうこ)」といい、
後に貴族の女性が着物の端切れで豪華な衣装を着せるようになりました。
これが雛人形の原型で、その姿は立雛であったといわれています。
古来より存在する伝統的な形ですので
初節句のお祝いにしても全く問題はありません。
即位の礼の際の天皇・皇后さまのお姿のようですね。
といったお飾りの仕方があります。
(他にも二段飾りや五段飾りなどもあります。)
飾りの違いによって、
お人形以外にもお道具(菱餅、三宝、雪洞(ぼんぼり)、
牛車、お籠(かご)、重箱、行器(ほがい)、貝桶など)
を一緒に飾ります。
今から30年くらい前までは七段飾りが主流でしたが
ここ最近は住宅事情や核家族化によって
親王飾りにされる方が大半です。
段数が増えるにつれて
豪華さは増しますが
飾るスペースや収納スペースも多く必要
になりますので
その辺りも考慮してお選びください。
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